研究概要 |
平成22年4月および,同年9月に高エネルギー加速器研究機構入射器において,複合標的を用いた陽電子生成実験を行った。 ・データ収集系の整備においては,当初予定していたデータ収集の完全自動化は行わなかったが,電子線の形状を記録する為のカメラと電子線を同期させるように改良を行った。その結果,標的中のエネルギー損失密度の推定に不可欠な,電子線の形状の記録が可能となった。 ・実験において,標的の厚さを変化させながら,陽電子生成量を系統的に測定した。それによって実験とシミュレーションの系統的な比較を行うためのデータを取得した。 ・熱電対による温度変化の高速測定に成功した。シミュレーションとの比較により,標的中のエネルギー損失密度と温度の変化の相関が確認でき,実験データから標的中のエネルギー損失を評価できることが確認できた。 以上の成果により,複合標的の可能性を定量的に評価するための基礎データを取得するとともにまた平成23年以降の研究においてより精度の高い測定を行う為の指針を得た。
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