研究課題/領域番号 |
22540318
|
研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
大山 雄一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 講師 (30213896)
|
研究分担者 |
塚本 敏文 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (20192643)
山田 善一 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (00200759)
石田 卓 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (70290856)
|
キーワード | ニュートリノ / J-PARC / T2K / 放射線 / 空間放射線量 |
研究概要 |
J-PARCニュートリノビームラインにγ線を測定するためのアラニン線量計(アミノグレイ)を設置して陽子ビームの運転を行った。アミノグレイの設置場所はターゲットステーション・サービスピット内10ヶ所、ターゲットステーション・機械室内4ヶ所、ミューオンピット内2ヶ所である。 2010年11月から2011年3月の東日本大震災による実験中断まで約1.124x10^20pot(proton on target)の陽子ビーム運転を行った。2011年の末に回収不能になった一部の資料を除いて取り出した。アミノグレイは電子スピン共鳴(ESR,Electron Spin Resonance)を用いて測定し、照射されたγ線の空間放射線量をそれぞれ算出した。これをMARSによるモンテカルロ計算と比較した。 ターゲットステーション中央のヘリウムベッセル上部では、計算値93mSv/hに対して測定値97mSv/h(中流部)等、非常によい一致が見られた。一方、機械室内ではB1機械室中流で計算値0.37mSv/hに対して測定値48mSv/h等、2桁も測定値の方が大きい結果が得られた。 機械室の結果についてはビームそのものからの寄与よりも機械室中を通っている冷却水配管中の放射化水による空間放射線量の効果が大きかったと考えられる。放射化水の影響がないヘリウムベッセル上部を考えると、モンテカルロ計算は十分測定値と一致していると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
全体的に加速器の運転が遅れていた。2011年5月に東日本大震災による影響を考えて2011年度の計画を大幅に見直した。しかし、震災後ターゲットステーションのヘリウムベッセルを開いて内部を検査して、震災の影響が思ったよりも大きいことが判明したのは2011年7月頃であり、2011年5月に改定した年度内の計画がさらに遅れることになった。
|
今後の研究の推進方策 |
J-PARCニュートリノビームラインのターゲット陽子ビーム近傍のうち、ターゲット上流のOTR(Optical Transition Radiation Monitor)が設置近辺に絞ってさらに運転時放射線測定を行う予定である。OTR測定器の寿命や交換時期を的確に判断するために詳しい運転時空間放射線量の測定が欠かせないからである。 アミノグレイによるγ線測定に加えて、6種類の金属箔(アルミ、銅、チタン、金、ニッケル、テフロン)を設置し、中性子による寄与を測定する予定である。
|