本研究、光ファイバーを用いた高精度同期技術を確立するために、本年度は高精度同期回路を用い安定度の測定を引き続き行った。主に高エネルギー加速器研究機構に於いて試作機の評価を行った。システムを安価に製作するために安価な電気光変換、光電気変換装置に関しても時間安定度を測定し、今回の目的に使用出来るデバイスの選定を行った。しかし、安価な電気光変換、光電気変換装置では安定な環境に於いても100fs以上の変動が計測され、本研究の目的に合わないことが判明した。また、製作上の問題点として機器の固定を強固に行う必要があり、固定が不完全であるために外部からの熱収縮のために50fs程度の変動が現れることが判明した。高精度同期回路を安定化するために最も影響が大きかったのは、接続ファイバーも含めた構成部品の温度の安定化であることが判明し、温度変動を極力抑えた恒温ボックスの製作も行った。断熱効果を高めたボックスを製作し、周囲温度の変化に対してゆるやかな温度変動を実現した。また、温度を制御するペルチェドライバーの制御パラメータを最適化することによって周囲温度の変化に対する追従を良くし、温度安定度を0.02℃まで安定させることに成功した。 上記の結果から、製作上の多くのノウハウを得ることが出来、高精度化に成功した。 試作機で得られた時間安定度は2856MHzの周波数に対して、20fs(20x10^-15秒)を計測した。この値は初期の目的値を十分満足するものである。
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