研究課題
第一原理計算により、Siの結晶単位胞内での2つの原子の相対変位、すなわち内部歪みが歪みSiの価電子帯構造に及ぼす効果を解析した。1軸圧縮の歪み方向、あるいは2軸伸張の歪みと垂直の方向([111]あるいは[110])では、ホール有効質量m*が著しく小さい価電子帯が他の価電子帯の上に突き出す分散が現れる。内部歪みを考慮して安定な原子配置を求めると、上記のm*の小さい第1価電子帯と第2価電子帯のエネルギー間隔が顕著に広がり、m*の小さいバンドが低エネルギー側に伸びて、高いホール移動度が期待される。第一原理計算により、内部歪みを考慮して、伸張歪みにより起こるGeの間接-直接バンドギャップ転移を解析した。室温での[001]、[111]方向1軸伸張では、それぞれ歪み量4.2%、3.7%で、(001)、(110)面内2軸伸張では、それぞれ歪み量1.5%、2.3%で転移が起こる。[110]方向1軸、(111)面内2軸伸張では転移は起こらない。SiGe上に成長した2軸伸張Siの価電子帯の分散を測定して解析し、Si結晶単位胞の一様な歪みだけなく、内部歪みを考慮して解析していく必要があることがわかった。Ge(001)清浄表面及び鉛吸着表面の表面近傍の価電子帯バンド分散を角度分解光電子分光で明らかにした。清浄面で価電子帯頂上付近に現れる3本のバンドは、Geのバルクバンドに由来すると考えられる。鉛吸着面では新たにもう1本のバンドが現れ、上述の3本のバンドとバンド反発を起こす。4本目のバンドは、鉛由来ではなく、表面近傍のGe層に存在することがわかった。その他、半導体サブバンド、有機半導体と関連して、有限温度交換・相関補正を用いて極低密度の強相関2次元伝導電子系のプラズモンを、ファン・デル・ワールス相互作用を考慮した第一原理計算により、alpha型亜鉛フタロシアニン結晶のバンド構造を解析した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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