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2010 年度 実績報告書

特異なバンド構造を持つ低次元電子系の輸送特性における乱れの効果

研究課題

研究課題/領域番号 22540336
研究機関東邦大学

研究代表者

河原林 透  東邦大学, 理学部, 准教授 (90251488)

キーワード物性理論 / メゾスコピック系・局在 / グラフェン / 有機導体 / カイラル対称性
研究概要

平成22年度はグラフェンにおけるカイラル対称性とそれに伴って生じるゼロエネルギーランダウ準位における異常性との関係について、二次元蜂の巣格子模型に基づく数値計算により詳しく調べた。
特に、現実のグラフェンでは無視できない次近接ホッピングによるエネルギーバンド全体のカイラル対称性の破れの効果を検証するために、蜂の巣格子に一様な次近接ホッピングを導入し、ホール伝導度(チャーン数)を精密な数値計算により求めた。その結果、バンド全体のカイラル対称性が破れても、ディラックコーン付近の有効ハミルトニアンにおいてカイラル対称性が漸近的に保存していれば、ゼロエネルギーランダウ準位における量子ホール転移の特異な臨界性が保たれることを明らかにした。
さらに、有機導体α-(BEDT-TTF)_2I_3に代表される傾いたディラックコーンを持つ場合に、グラフェンで見られたような異常性が存在するのかについて調べるために、ディラックコーンの傾きが調節できるような二次元格子模型を考え、異常性の有無を数値的に調べた。その結果、ゲージ場の乱れに帰着するようなランダムネスに対しては、コーンの傾きによらずに、異常性が存在することを数値的に明らかにした。このことは、グラフェンで見られた異常性が他の有機導体でも存在する可能性を示唆している。
二層グラフェンに対しても解析を進めており、カイラル対称性が保存していれば、ディラックコーンが存在しなくても異常性が存在するという結果を得た。今後、こうした成果を踏まえ、二層グラフェン、傾いたディラックコーンに対してより詳しい解析を行い、実験結果の解明を目指す。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2010 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Anomalous criticality at the n=0 quantum Hall transition in graphene : The role of disorder preserving chiral symmetry.2010

    • 著者名/発表者名
      T.Kawarabayashi, T.Morimoto, Y.Hatsugai, H.Aoki
    • 雑誌名

      Physical Review B

      巻: 82 ページ: 195426

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Generalized chiral symmetry and stability of zero modes for tilted Diraccones

    • 著者名/発表者名
      T.Kawarabayashi, Y.Hatsugai, T.Morimoto, H.Aoki
    • 雑誌名

      Physical Review B

      巻: (in press)

    • 査読あり
  • [学会発表] 不規則2層グラフェンのランダウ準位におけるカイラル対称性の効果2010

    • 著者名/発表者名
      河原林透
    • 学会等名
      日本物理学会2010秋季大会
    • 発表場所
      大阪府立大学(大阪府)
    • 年月日
      2010-09-24
  • [学会発表] Criticality of the quantum Hall transition at the n=0 Landau Level of disordered Graphene2010

    • 著者名/発表者名
      T.Kawarabayashi
    • 学会等名
      APCTP-POSTECH AMS Workshop "Metal-Insulator Transitions in Disordered and Magnetic Systems
    • 発表場所
      Hogil Kim Memorial Bldg.(Pohang, Korea)(Invited Talk)
    • 年月日
      2010-09-02
  • [学会発表] Anomalous Criticality at the n=0 Landau Level of Graphene : a Manifestation of the Chiral Symmetry2010

    • 著者名/発表者名
      T.Kawarabayashi
    • 学会等名
      International Conference of the Science and Technology of Synthetic Metals (ICSM)
    • 発表場所
      Kyoto International Conference Center (京都府)
    • 年月日
      2010-07-07
  • [学会発表] Chiral symmetry in Graphene2010

    • 著者名/発表者名
      T.Kawarabayashi
    • 学会等名
      Graphene-week 2010
    • 発表場所
      College Park (Maryland, USA)
    • 年月日
      2010-04-21

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公開日: 2012-07-19  

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