氷の水素自由度のみを扱った現象論的モデル(KKYモデル)を用いて、常圧最低温相(いわゆるIce XI)の安定性やその強誘電性について研究を行った。まず、Ice XI の予想される構造、および、そこから水素(プロトン)が配置換えを行った結果得られる16種類の構造について、上記モデルによりエナジェティックスを求めた。その結果、反電場効果をも考慮した場合、Ice XI に対応する結晶群 cmc21 が、形状が細線の場合を除いて、最安定にならないことが分かった。従って、可能な唯一の可能性は,細線が束になったような不完全な構造である。
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