研究課題
本研究は、重い電子系超伝導体、あるいは、量子臨界性を示す化合物の電子構造や価数状態をバルク敏感な高分解能共鳴X線発光分光法により明らかにし、それが物性にどのように影響するかを調べることを目的としている。初年度の本年(平成22年度)は、鉄系超伝導体CeFeAsO_<1-y>及び、金属内方フラーレンCe@C_<82>に対して、価数などの電子構造の温度依存性、そして、室温で圧力依存性を調べる実験を、アンジュレーター放射光を使って行った。CeFeAsO_<1-y>は、圧力により超伝導転移温度が急激に下がる。この理由として、Ceγ→αの相転移が考えられていたが、正確な理由は不明であった。我々の測定結果は、圧力により相転移を起こさずに徐々に上がる価数揺動と、最適な結晶構造からのずれの両方が、超伝導性を損なっていることを示唆していた。Ce@C_<82>では、我々の共鳴X線発光分光方における終状態効果を、よりクリアーな形で観ることができることを、理論計算と合わせて比べることにより示すことができた。これらの結果は論文として出版された。さらに、低温かつ高圧下での実験を進めるためにmembrane DACを準備し、そのテストを行っている。現在までのところ、17K、7-8GPaまでのテストを終了している。今後、この圧力を20-30GPa程度まで上げる実験を継続して行っていく予定である。実際の測定対象としては、価数揺動を示す、CeCu_2Ge_2や、Yb系化合物を予定している。
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Journal of Physical Society of Japan
巻: 80 ページ: 014702-1-014702-5
Physical Review B
巻: 82 ページ: 125123-1-125123-8