研究課題
本年度は最終年度であり、これまで研究開発してきた高圧低温実験装置を使って、いくつかの量子臨界点をもつ価数揺動化合物に対する放射光実験を行った。低温高圧実験は10数 GPaまでは問題なくできるようになった。低温でBe gasketの脆弱性が強くなるため、約15 K, 18 GPaまでが現在の到達点となっている。現在、さらに低温下での高圧実験ができるように改良を行っている。CePd2Si2において19 K, 12 GPaまでの実験が行われた。Ce価数は、近藤効果が支配的な領域から価数揺動領域へ移行することが確認された。不純物アンダーソンモデルによる理論計算と比較され、理論と実験結果が良い一致を示した。一般に、Ce系、Yb系の量子臨界点においては、価数揺動が起きている系が多いことが確認された。また、Yb系に対してSPring-8においてX線発光分光、HiSOR(広島大学放射光実験施設)において高分解能の光電子分光測定を行い、両方の結果から電子状態、特に、温度変化とFermi端付近の電子状態を明らかにすることができた。このように、光電子分光とX線発光分光の両方の手法により相補的に電子状態を調べているグループは世界でもほとんど例がない。Yb2Pd2Snに対しては、光電子分光と発光分光測定と行ない電子構造を明らかにした。また、低温高圧下での発光分光測定から、高圧下で起きる異常な振る舞いに関してあったふたつのシナリオのうち、ひとつを否定することができた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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