研究課題/領域番号 |
22540357
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小田 研 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70204211)
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研究分担者 |
戸田 泰則 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00313106)
伊土 政幸 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90111145)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | 銅酸化物高温超伝導体 / STM / 電荷秩序 / 擬ギャップ |
研究概要 |
当該物質Bi2212では、擬ギャップを伴った電荷秩序が走査トンネル顕微鏡(STM)で観測される場合(タイプA)とされない場合(タイプB)がある。私達は、この原因に関して、「Bi2212の電荷秩序は本来揺らいだ状態にあり、この場合には静的なプローブであるSTMでは観測されず、その揺らいだ電荷秩序がディスオーダーや磁場印加等によってピン止めされるとSTMで観測される」と提案してきた。本研究では、タイプBの試料表面に磁場を印加して試料内に侵入させた磁束(芯)の周囲で静的な電荷秩序が誘起されることが確認され、電荷秩序は本質的に揺らいだ状態にあることが示された。また、本研究では、電荷秩序の周期のホール濃度依存性も詳細に調べたが、この周期は低ホール濃度領域で格子の周期の約4倍、高ホール濃度領域で約5倍となり、格子の周期と整合性を保つことが明らかとなった。この結果は、銅酸化物高温超伝導体の電荷秩序の起源として提案されているモデルの中で、電荷とスピンのストライプモデルが妥当であることを示唆するものである。さらに、本研究では、擬ギャップ・電荷秩序の超伝導発現機構との関係を解明するため、分担者(戸田)が中心となって、Bi2212の光誘起超伝導-非超伝導転移における準粒子ダイナミクスに関するポンプ・プローブ分光実験も行なった。この実験では、高強度のポンプ光パルスを試料表面の一部に照射すると、超伝導が局所的に破壊され、同時に擬ギャップ/電荷秩序もある程度抑制されるが、その後の超伝導の形成は擬ギャップ・電荷秩序が元の状態にほぼ回復した時点から始まることを示唆する結果が得られた。したがって、擬ギャップ・電荷秩序は、超伝導と単なる競合関係にあるのではなく、超伝導の発現に必要な電子系の性質であると考えられる。 以上の結果を総合すると、ストライプ秩序の揺らぎが高温超伝導の機構に深く関っている可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
理由
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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