研究課題/領域番号 |
22540361
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
本間 佳哉 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (00260448)
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研究分担者 |
芳賀 芳範 日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究主幹 (90354901)
中田 正美 日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 副主任研究員 (60370441)
逢坂 正彦 日本原子力研究開発機構, 大洗研究開発センター・燃料材料試験部, 主任研究員 (10421471)
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キーワード | メスバウアー分光 / アクチノイド / ネプツニウム / 強相関電子系 / f電子 / 磁性 |
研究概要 |
本研究は広く普及しているFe-57メスバウアー分光に加え、Np-237メスバウアー分光技術を確立し、強相関電子系Np化合物の複雑な磁性挙動を解明することを目的としている。本年度はまず、前年度までに測定を完了したNpFeGa_5の^<57>Feメスバウアースペクトルの精密解析を行った。NpモーメントによるFeサイトの双極子磁場を詳しく検討した結果、の反強磁性状態(T_N=117K)における(1/2,1/2,0)の伝搬ベクトルで示されるc面内の磁気モーメントは、T^*<77Kで面から約30°の煽り角を示すことが確認された。 カップリング法で調製したAm-Pd合金線源の密閉化のためのアルミ製特殊容器を開発した。JISで定められている密封線源の等級試験に準拠して容器の健全性を検証の上、最終年度にはNp-237メスバウアー実験に供する予定である。また、震災でメスバウアー測定用の冷凍機が破損したが、震災復興により無事修理が完了した。 本研究の一環で、強磁性転移を示すスクッテルダイト化合物NpFe_4P_<12>(T_c=23K)およびEuFe_4As_<12>(T_c=152K)のFe-57メスバウアー分光を行い、スペクトルの非対称性から、Feサイトの電場勾配と内部磁場の寄与を解析し、NpFe_4P_<12>は<100>方向に、EuFe_4As_<12>は<111>方向に磁気モーメントが向いていることを実証した。さらにEu-151メスバウアーにより、EuFe_4As_<12>はEu^<2+>とEu^<3+>の混合原子価状態であることが確認された。また、Fe-As系超伝導物質の関連で研究されているEuFe_2As_2についてもEu-151とFe-57メスバウアー分光を行い、Euの局在モーメントがc面内に揃っていることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の新規性は、Np-237メスバウアー用線源にAm-Pd合金を自前で調製することにあるが、その密閉化、ならびに日本原子力研究開発機構から東北大への輸送が23年度中に完了しなかった。また、震災でクライオスタットが軽度の破損をして修理に時間を要してしまった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究遂行のための、設備や許認可、さらに技術は確立しており、安全に配慮しながら線源の密閉化と輸送を最終年度に成就させる所存である。
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