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2010 年度 実績報告書

ルテニウム2次元酸化物に電場・圧力で誘起される新奇量子現象

研究課題

研究課題/領域番号 22540368
研究機関広島大学

研究代表者

中村 文彦  広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助教 (40231477)

キーワード強相関電子系 / 金属-絶縁体転移 / 遍歴電子強磁性 / 圧力効果 / 電場効果 / Ru酸化物 / トリプレット超伝導 / モット転移
研究概要

本研究の目的は,モット絶縁体Ca_2RuO_4を外場で金属化し,その金属相に現れる新奇量子凝縮状態を探索すること.また,その転移過程の特異性を明らかにし,それらの発現機構の理解を進めることにある.今年度は,圧力と電場,ふたつの外場の効果について調べた.
1.圧力効果
(1)モット絶縁体Ca_2RuO_4は圧力下で強磁性を基底状態に持つ金属に転移する.この強磁性が典型的遍歴電子強磁性であることをスピン揺らぎのSCR理論に基づいて評価した.また,この強磁性は異方性が大きい3次元強磁性であることが分かった.これは,スピン軌道相互作用が大きいことに起因する.
(2)さらに,8GPaまで加圧すると遍歴強磁性が突然消失し,超伝導が出現した.この超伝導は強磁性ゆらぎに関連したスピン3重項超伝導である可能性が高い.
2.電場の効果
Ca_2RuO_4に300Kでわずか乾電池一個に満たない0.8Vを印加するとMott絶縁体が金属化する.この電圧は電場にしてE_c~40V/cmであるが,これは既知の絶縁破壊電場に比べても1~2桁も小さい.また,この絶縁破壊は構造転移を伴う.さらに,パルス電場で発熱量を抑えた実験でも静電場同様,構造変化を伴う金属転移が誘起できることが分かった.
この様なおどろくべきほど低電場での絶縁破壊および電場誘起の強磁性は,4d電子系Mott絶縁体Ca_2RuO_4の他には例がない特異な現象であり,基礎物理のみならず電子デバイスへの実用化が十分に期待できる.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Pressure induced novel-phenomena in Mott insulator Ca2RuO42010

    • 著者名/発表者名
      Y.Yamauchi, F.Nakamura, M.Sakaki, T.Takemoto, T.Suzuki, P.Alireza, Y.Maeno
    • 雑誌名

      Physica C

      巻: 470 ページ: 740-741

    • 査読あり
  • [学会発表] パルス電場によるモット絶縁体Ca_2RuO_4の金属化2010

    • 著者名/発表者名
      木村有作, 山内洋平, 坂木麻里子, 中村文彦
    • 学会等名
      日本物理学会2010年秋季大会
    • 発表場所
      大阪府堺市
    • 年月日
      2010-09-24
  • [学会発表] 軟X線分光から見たMott絶縁体Ca2RuO4の電場誘起相転移2010

    • 著者名/発表者名
      坂木麻里子, 中島伸夫, 渡辺剛基, 磯濱陽一, 木村有作, 鈴木孝至, 中村文彦
    • 学会等名
      日本物理学会2010年秋季大会
    • 発表場所
      大阪府堺市
    • 年月日
      2010-09-02

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公開日: 2012-07-19  

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