研究課題
本研究の目的は,モット絶縁体Ca2RuO4を外場で金属化し,その金属相に現れる新奇量子凝縮状態を探索すること.また,その転移過程の特異性を明らかにし,それらの発現機構の理解を進めることにある.今年度は,電場と一軸圧力の効果のふたつの外場について調べた.1.電場誘起金属化と金属状態を維持する方法:室温で,モット絶縁体Ca2RuO4に乾電池一個に満たない電圧(約0.8V)を印加すると構造転移を伴い金属化する.このしきい電場は既知の絶縁破壊電場に比べても1~2桁も小さい.我々は,パルス電圧・電流による抵抗測定,放射温度計による時間分解温度測定や試料のサイズ・形状依存性を調べ,この現象がジュール発熱や局所的金属化では説明できないことを明らかにした.また,しきい電場の温度依存性からこの金属化現象は局在した電荷のピニングポテンシャルの熱揺らぎで説明できる.さらに,0℃でも非平衡定常状態にある川の水(流水)は凍らない.同様に,電場で金属化した後の金属状態は電流を流し続けることで低温まで維持できること.さらに,その基底状態は圧力誘起金属相と同様に強磁性であることを実験的に示した.2.圧力効果(一軸圧力)モット絶縁体Ca2RuO4は0.5 GPaの静水圧で遍歴電子強磁性を基底状態に持つ金属に転移する.この強磁性は,8GPaまで加圧すると突然消失し,超伝導が出現する.さらに,この物質は2次元電子状態を特徴とするため,異方的加圧に敏感である.確かに,c軸方向に一軸加圧すると,静水圧より容易に金属化し強磁性が出現することがわかった
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Schuβler-Langeheine Nature Communications
巻: 3
DOI:10.1038/ncomms2019
Journal of Physics: Conference Series
巻: 400 ページ: 022036 (1-4)
doi:10.1088/1742-6596/400/2/022036