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2010 年度 実績報告書

強相関化合物におけるf電子の遍歴および局在の二重性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22540370
研究機関国立大学法人琉球大学

研究代表者

眞榮平 孝裕  国立大学法人琉球大学, 理学部, 准教授 (20372807)

キーワード相対論的バンド計算 / f電子系 / 電子相関 / 磁性 / j-j結合 / 希土類化合物 / アクチニド化合物 / 遍歴・局在
研究概要

遍歴と局在の2重性は強相関電子系の持つ本質的な問題である。そこで、2重性を本質的に内在する単体セリウムを研究対象に選び研究を開始した。単体セリウムは、γ相からα相へ変化する際、結晶構造は変えないが20%もの体積変化を伴うことが知られている。相変化による4f電子の局在性と遍歴性が強く示唆されているが、単結晶育成の困難さから理論・実験ともに決定的な理解には至っていない。まず、相対論的バンド計算の手法を用いて、α-セリウム、γ-セリウム、f電子の寄与を調べるためにランタンおよびトリウムの電子構造を系統的に明らかにした。その結果、α-セリウムについては、横磁気抵抗の実験結果を合理的によく説明するが、f電子が局在的な傾向を示すγ-セリウムついては、局所密度近似(LDA)法を基礎とするバンド計算では説明することが困難であった。α-セリウムの解析の結果、2番目のバンド2と3番目のバンド3がフェルミレベルを横切り、4f電子成分によりフェルミ面が形成されていることがわかった。バンド2のホール面は、A軸上に位置する8個の閉じた円盤状フェルミ面と、W点でゾーンからゾーンへ複雑に連結したフェルミ面から形成される。バンド3の電子面は、Σ軸上に位置する12個の閉じたフェルミ面から形成され、その形状は原子番号90番目のトリウムのフェルミ面とよく似ている。バンド2のフェルミ面がゾーンからゾーンへ連結しているために開軌道の可能性があったが、解析の結果、開軌道は生じないことがわかった。また、バンド3がトリウムのフェルミ面と似ているところから、4f電子系、5f電子系の違いはあるが、単体セリウムの参照物質としても有効であることが確認できた。これは、事前に予想していたことであり、今後の研究を進める上でも、重要な確認の1つであった。さらに、強相関電子系の電子状態を微視的観点から理解するため、電子模型構築を進めるが、その指針を得るための解析を行った。この電子模型は、強束縛近似によるf-およびp-電子の遍歴項と混成項、f-電子間相互作用項、そして結晶場項からなり、Slater-Kosterとしては、(ffs),(fps),(fpp),(pps),(ppp)の5つを考えている。その解析の結果、Γ8とΓ7は(fpp)について敏感に変化することがわかり、LDA+CEF法による電子状態の解析において、重要な意味を持つことがわかった。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2011 2010

すべて 学会発表 (10件)

  • [学会発表] PuX(X=S,Se,Te)の電子構造2011

    • 著者名/発表者名
      立津慶幸、照屋寛親、眞榮平孝裕
    • 学会等名
      日本物理学会
    • 発表場所
      富山大学
    • 年月日
      2011-09-23
  • [学会発表] Puラーベス相(PuRu_2,PuRh_2)の電子構造2011

    • 著者名/発表者名
      照屋寛親、立津慶幸、眞榮平孝裕
    • 学会等名
      日本物理学会
    • 発表場所
      富山大学
    • 年月日
      2011-09-23
  • [学会発表] PuIr_2とCeIr_2の電子構造2011

    • 著者名/発表者名
      眞榮平孝裕、立津慶幸、照屋寛親
    • 学会等名
      日本物理学会
    • 発表場所
      富山大学
    • 年月日
      2011-09-23
  • [学会発表] Th化合物の電子構造2011

    • 著者名/発表者名
      立津慶幸、眞榮平孝裕
    • 学会等名
      日本物理学会
    • 発表場所
      新潟大学
    • 年月日
      2011-03-27
  • [学会発表] Thの電子構造とフェルミ面2010

    • 著者名/発表者名
      立津慶幸、眞榮平孝裕
    • 学会等名
      琉球物性研究会
    • 発表場所
      琉球大学
    • 年月日
      2010-12-11
  • [学会発表] f電子系における遍歴性と局在性2010

    • 著者名/発表者名
      立津慶幸、眞榮平孝裕
    • 学会等名
      日本物理学会
    • 発表場所
      大阪府立大学
    • 年月日
      2010-09-23
  • [学会発表] UAl_3の開軌道2010

    • 著者名/発表者名
      照屋寛親、城野将、立津慶幸、眞榮平孝裕
    • 学会等名
      日本物理学会
    • 発表場所
      大阪府立大学
    • 年月日
      2010-09-23
  • [学会発表] Ceラーベス相のフェルミ面における電子成分分布2010

    • 著者名/発表者名
      城野将、照屋寛親、立津慶幸、眞榮平孝裕
    • 学会等名
      日本物理学会
    • 発表場所
      大阪府立大学
    • 年月日
      2010-09-23
  • [学会発表] The Fermi surface of Itinerant 4f Electrons in α-Ce2010

    • 著者名/発表者名
      眞榮平孝裕、立津慶幸
    • 学会等名
      International Conference on Heavy Electrons 2010
    • 発表場所
      首都大学東京
    • 年月日
      2010-09-19
  • [学会発表] Origin of the frequency branch ε of the de Haas-van Alphen effect in Ual_32010

    • 著者名/発表者名
      立津慶幸、眞榮平孝裕
    • 学会等名
      International Conference on Heavy Electrons 2010
    • 発表場所
      首都大学東京
    • 年月日
      2010-09-19

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公開日: 2013-06-26  

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