研究概要 |
Singwi, Tosi, Land と Sjolander が電子ガス系で提案したSTLS理論を応用し、固体の電子密度分布での密度揺らぎやその電子相関効果、およびその固体の電子構造を計算するための第一原理計算プログラムの開発を行ってきた。特に、強相関電子系であるアクチノイド系列やランタノイド系列の原子を含むf電子系化合物の電子構造を念頭において、ディラックの相対論的方程式を基にした線形化補強された平面波法をフルポテンシャルの理論に拡張し、そのバンド理論(FDLAPW法)の計算機ブログラムを開発した。これにより、電子密度における固体の空間及び波数依存性を定量的に計算することができる。 電荷密度の空間依存性や波数依存性に対して、電子ガス系の平面波を固体の周期対称性をもつブロッホ波に置き換えることにより、STLS近似の範囲内で電子揺らぎを考慮した固体の電子相関エネルギーを計算することを試みた。このために、前年度にフォートラン2003言語により作成した電子ガス系のSTLS理論のモジュールをFDLAPW法に組み込んだ。Xeon Phiコプロセッサーにより超並列化がワークステーション並の計算機で実現可能になりつつあるので、OpenMPによるメモリー共有型の並列化による高度化も行った。作成段階で並列化のコンパイラーバグの存在を発見し、それに対する対策を行った。いくつかの金属に応用し、固体の電子密度でのSTLS計算を実行した。 それと平行して、密度汎関数法理論の範囲内で、遍歴強磁性体URhGeとトリウム化合物 ThRu2Si2 の電子構造およびフェルミ面解析も行った。この研究成果は論文等で発表した。
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