研究概要 |
一昨年からの物質探索によって、ノンストイキオメトリーの新規Li系超伝導物質Lix-Rh-By(Tc=3K)を発見し、この物質が新たな空間反転対称性の破れた超伝導物質であることを示し報告してきた。本年は、リチウム化合物から探索幅を広げ、比較のためにCa/Sr/Baなどのアルカリ土類金属化合物やKドープ化合物についてについての物質開発を行った。 その結果、AnM3n-1×2n[A:アルカリ土類金属,M:金属元素,X:半金属元素]で表されるアルカリ土類金属系ホモロガス化合物超伝導体(Tc=4K,6K,9K)を発見した。空間反転対称性は破れていないが無限層(n=1)である母化合物が超伝導を示さないのに対し、n=3,7など特定の積層構造の場合のみ超伝導特性を示すことが分かってきた。それらのうち、構造解析や物性測定が進んだAM2B2 and A3Rh8B6(A=Ca,Sr;M=Rh,Ir)の物質についてPhys.Rev.において報告した。1.8<T(温度)<300K、0<H(磁場)<50kOeの範囲で磁気抵抗を測定したところ、ゼロ磁場における抵抗は金属的でBloch-Gr"uneisen則に従うふるまいを示した。低温で磁気抵抗効果を示し、磁場Hに対して比例して正の磁気抵抗を示し、磁気抵抗率ΔρT(H)/ρT(0)は,最大1200%にもなった。それらをAbrikosov Modelによって解析して報告した。 また、Kドープ化合物としてC60ウィスカーの研究も行った。
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