研究概要 |
将来のスピントロニクス応用をめざしたIII-V半導体ベースの新しい強磁性体の可能性のある物質として、まず様々な組成、LiZnAs, LiMnAs, Li1+yZn0.9Mn0.1As (y=1.0, 1.1, 1.2), LiZn0.1Mn0.9Asに関して合成した。合成法は、それぞれの金属元素をグローブボックス中で秤量・混合し、BNるつぼに入れ、SUSチューブに封入して、500℃3h-700℃5h加熱して反応させた。試料はEDAX、X線回折によって評価した。正方晶であるLiZnAsにMnをドープすると斜方晶に変化する。リートベルト法でそれぞれのXRDパターンはフィッティングが可能であった。(a) LiZnAs (P-43m, a= 5.939(1)A, (b) LiMnAs (P4/nmm, a= 4.304(1)A, c= 6.175(1)A, (c) Li(Zn 0:1 Mn 0:9 )As which is a mixture of LiMnAs (a=4.274(1)A, 6.181(1)A) LiZnAs (5.978(1)A). LiZnAs およびLiMnAsについては、正に単相であった。それに対して、LiZn0.9Mn0.1AsではPhase Segregationがみられた。またMn側の組成では、固溶限界が低く、約15%以下と予想された。これらの結果は、先行研究であるDeng et al.の報告と矛盾がなく、Mnの固溶限によってTcの飽和が規定されていると考えられる。このことは、非常に面白く、今後ともLi(Zn1-xMnx)AsのPhase Stabilityについて研究する必要がある。磁化ついてはLiZnAs、LiMnAs、LiZn0.9Mn0.1As試料で、それぞれパウリ・パラ、より小さな磁化、110K以上での反強磁性転移を観測した。
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