研究概要 |
本研究は、申請者が提案している放物型分散曲線を持つ特異格子系について、不規則性によるアンダーソン局在が最も起こりにくいとされる長波長音響フォノンが特に局在し易くなることを、理論予測に基づいて、大規模な数値実験により検証しようとするものである。1次元特異格子系については検証されている。 3年次計画の初年度にあたる平成22年度は、この低振動数音響フォノンのアンダーソン局在が2次元及び3次元特異格子系でも顕著にみられるか否かを検証するため、充分長い帯状の準1次元系(帯幅S)及び角柱状の準1次元系(角柱幅S)の波動の伝達行列の正の最小リャプノフ指数γを任意のW,ω,S,長さLでQR法により計算するための高効率数値計算プログラムの開発を行った。基本となるプログラムの開発はほぼ完成し、これが本年度の主たる実績となる。また、これまでの研究成果は、PHONONS2010国際会議(Taipei)で発表され、審査をへて、CJP、Vol.47,No.1、2011に論文が掲載された。 2年目に当たる平成23年度では、基本プログラムにより系統的な数値計算を実行するための様々な補助プログラムを作成して、数値計算を実行してゆく。
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