研究課題/領域番号 |
22540387
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
湯川 諭 大阪大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (20292899)
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キーワード | 非平衡状態 / 構造形成 / 破壊 / Lennard-Jones系 / 相分離 / 温度勾配 / 界面運動 |
研究概要 |
非平衡条件下での構造形成に関して、平成23年度に引き続き固体の体積収縮による破壊のミクロダイナミクスに関して研究を行った。固体の体積収縮による破壊は、熱力学的には、減圧にともなう固気共存状態への遷移であり、収縮レートに応じて非平衡度が制御できる。この非平衡度に依存し、終状態の性質が変わるが、本年度はその振る舞い、および物理的本質の解明をおこなった。それらの成果を学会において発表し、現在論文を作成中である。また研究実施計画に沿って、相界面が形成される際の微視的破壊プロセスに関するミクロシミュレーションをおこない、破壊のミクロダイナミクスとミクロ構造に関する成果を論文として発表した。また体積収縮による破壊の研究と関連して、体積膨張にともなう二成分Lennard-Jones系における相分離ダイナミクスと流動形式の研究をおこなった。この場合は、減圧にともなう気液共存状態への非平衡条件下での遷移であり、破壊の問題と共通する物理は多い。そこで流動様式に関する相図を調べた成果を論文として発表した。 非平衡条件下での輸送の問題に関して、温度勾配が存在する環境下での結晶粒界の運動の研究を開始した。まだ完全に現象が解明できたわけではないが、速報として界面運動が温度勾配の向きで制御できること、その運動が熱活性型の非平衡ダイナミクスで記述できることなどを学会で発表した。これと関連する研究として磁性体における磁壁の温度勾配下での運動の研究も行っており、その成果を論文としてまとめ、あとは投稿するだけというところまで来ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
非平衡条件下での構造形成に関する研究で、予想以上の多彩な成果が出た結果、もう一つの柱である非平衡輸送に関する研究がやや遅れており、研究計画が少し予定通り進んでいない。ただ、研究目的の達成という観点からは、遅れは非常に少ない。
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今後の研究の推進方策 |
今後は研究目的の一つである非平衡条件下での輸送の理解、とくに交差効果に関する研究を重点的に実施したい。
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