研究課題
揺らぎの影響を取り入れたSon-Patanshinski模型相図平均場近似計算以外の情報がないため、近似の改良の拠り所となるための相図を計算機シミュレーションで求めることを試みた。シミュレーションにはマルチカノニカルモンテカルロ法を採用した。固相1-液相1間、固相2-液相2間、および固相1-固相2間の相境界位置はほぼ平均場計算の結果と一致した。即ち、容易に予想される通り、これらの不連続転移において秩序の揺らぎは本質的に重要ではない。しかしながら、最も着目している液相間の転移は、平均場計算結果と定性的に異なり、出現しなかった!つまり、上記の液相1と液相2は前者が後者中に均一に溶けた、熱力学的には単相の液相が得られたのである。計算の便宜上、平均場計算模型から僅かな変更を施している。現在、この変更を施さない、平均場計算に使用した模型を忠実に計算機上で構成して再計算を行っている。臨界指数を高精度で計算するための手法とツールの整備オフラティス模型の臨界現象を定量的に考察するためのツール整備としてヒストグラム法の実装を行った。変形Lennard-Jones系を対象として選んだ。この系の臨界点の精査を行う前に広範囲に渡る温度-圧力相図を計算によって求めた。特に、融解曲線の数値精度は、これについての唯一の報告であるBroughton-Gilmerのそれを凌駕するものである。この結果をJ.Chem.Phys.に投稿した。オープンな四面体構造を有する不定形多形状態間転移の現象論構築Son-Patashinski模型とFranzese-Stanley模型との融合を試みた。前者に関しては、上に述べた通り、果たして液相間転移を記述しているかが不明になったため、現在、報告者の研究対象であるヨウ化錫系に対して後者を適用して得られた密度異常に関する結果を論文としてまとめている。
3: やや遅れている
Son-Patashinski模型の微視的な計算が平均場計算と定性的に異なる結果を与えたためである。報告者の計算が正しければ、これまで出版されてきた同模型、およびその発展模型によって液相間相転移は記述できないことになる。従って、結論を公表する前に慎重に問題を検討したい。
上記11の問題を早急に検討し、結果の公表にこぎつける。その後は、当初の予定通り、第二臨界現象の記述には気-液相の存在だけでなく、複数の固相の存在が不可欠である、というシナリオを完成するための統一模型の構築を行う。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)
Physical Review B
巻: 84 ページ: 144105(9 pages)
10.1103/PhysRevB.84.144105
Journal of Chemical Physics
巻: 135 ページ: 091101(4 pgaes)
10.1063/1.3637038