研究課題
近年,「自発・自律性,階層性,自己組織化」などの特有な性質を生み出す非平衡散逸系の研究が急速に発展し,様々な分野においてその波及効果が期待されている.一方,これまでの「ノイズ」とは,排除すべきものとして主にその発生原因や処理手法などが研究されてきた.しかし近年,確率共鳴現象等でノイズはある条件下で生産的な効果を引き起こすことが分かった.本研究で取り上げる液晶対流系は,散逸構造におけるノイズ応答性を調べる格好の対象として考えられる.本研究では液晶系の様々な散逸構造において,それぞれの固有メカニズムと特性がノイズにどのように応答するかを明らかにした.(1)様々な散逸構造(Williams Domain, Chevron, Prewavy Pattern及びIsotropic Mode)において,その構造発生閾値のノイズ依存性を実験手法で示した.その個別性におけるノイズ応答性は明らかに異なる.しかし,対流構造の相違・類似性(固有メカニズム)からその応答を分類できることが分かった.(2)また,その散逸構造の特性長におけるノイズ効果を初めて体系的に調べた.散逸構造の相違・類似性(固有メカニズム)によって特性長変化の違いが明らかになった.特にChevronに関してはその微細構造がノイズで制御可能であることを示した.(3)ホメオトロピック配向系とプレーナー配向系での比較実験を通して,そのソフトモード乱流及び南部-ゴールドストーン・モードのノイズ依存性との関連性を見出した.特に磁界による南部-ゴールドストーン・モードの制御下での実験結果は,外部ノイズと非線形揺らぎの協力・競合現象における興味深い課題を提供した.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of the Physical Society of Japan
巻: Vol.81,No.10 ページ: 104602