研究概要 |
1)構築した非局所自己無撞着射影演算子理論(T=0)を銅酸化物(2次元ハバードモデル)へ応用し,理論がunder-doped領域からover-doped領域までの1粒子励起スペクトルを定量的に記述できることを明らかにした.特に,励起スペクトル状態密度のピークがフェルミレベルにくる特性ドープ濃度が従来の15%ではなく12.5%になることを示し,これが銅酸化物の1/8不安定性と密接に関連していることを明らかにした (J. Korean Phys. Soc. , to be pub.). 2)第1原理非局所自己無撞着射影演算子理論を構築するために必要となる運動量依存局所変分理論を発展させた.特に,出発点となる波動関数をHartree-Fock波動関数からHybrid波動関数へ一般化することによって,弱相関から強相関まで記述可能な解析的変分理論を構築することに成功した (J. Phys. Soc. Jpn. 82 (2012) 013701). さらに,TB-LMTOハミルトニアンを出発点とする第1原理運動量依存変分理論の定式化を行ない,その変分パラメーターを求める自己無撞着方程式の近似解を得た. 3)ハバードモデルに基づいて有限温度における動的CPA理論を非局所動的CPAに拡張する理論の定式化を行った(日本物理学会2013春28pXW-1).自由エネルギーの有効ポテンシャルに非対角有効媒質を導入して,有効媒質からのクラスター展開を行い,長距離非局所効果を取り入れる.有効媒質を決めるためには,媒質を出発点とした非対角自己エネルギーが必要となるが,これはクラスター有効ポテンシャルの定常条件から求められる. 分子動力学シミュレーションを用いた具体的計算は次年度研究課題に引き継がれる.
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