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複雑系が示す多様な振る舞いから、すべての複雑系に共通する特徴を追求し、それに隠されている単純性や普遍性の有無を明らかにすることを目標にした。
1. バクテリアは培地の固さと栄養濃度に応じて多彩なコロニー・パターンを形成する。今年度は主として緑膿菌の周期的コロニー成長の特性の定量的測定を行った。共焦点レーザー顕微鏡を駆使して、コロニー内の菌密度の時間的空間的変化を追い、周期的成長のダイナミクスを調べた。コロニーの成長界面自体はスムーズに前進するが、コロニー内でその高さが周期的に変化し、結果として同心円状のコロニー・パターンが見られることが分かった。これはプロテウス菌や枯草菌の周期的成長の場合と異なる。
2. 複雑系での統計性はべき乗分布と対数正規分布で特徴づけられることが多い。しかし、私たちはこれまでの研究で、複雑系では対数正規分布がより基本的な分布関数であることを基礎付けし、多くの例を提示してきた。本研究ではさらにコロニー内の枯草菌のサイズ分布が対数正規分布することを明らかにした。
3. 宇宙背景放射温度揺らぎのWMAPデータについて、温度揺らぎの大小を地形の高低とみなし、平均温度を高度0とする。高度0でのループ(海岸線)の全体および個々のループのフラクタル次元とループのサイズ分布との間の関係を考察し、ある種のスケーリング則が成り立つことを見出した。また、高度を変えた時のループの集合・離散はパーコレーションとみなすことができるが、この場合は通常のパーコレーションとは異なることも明らかにした。
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