角材で組んだ格子を製作し、気象研究所の大型風洞装置に設置して、一様等方乱流を生成した。熱線流速計の小型センサーを用いて流速の時間変動データを取得した。現在はデータ解析を行っており、解析結果に基づいて来年度の本実験の条件を確定する予定である。なお比較のために、非一様な境界層乱流についても同様の実験を行った。 風洞実験の時間変動データから、揺らぎの2乗(エネルギーに相当)を粗視化した量の統計を調べると、粗視化スケールが相関長付近で遷移がみられた。このメカニズムを解明するために、相関を持つ最もシンプルな系としてOrnstein-Uhlenbeck過程を数値計算および解析表現により調べた。粗視化スケールを大きくすると、実験同様に遷移が現れ、対数正規分布に近い分布を経て正規分布に漸近することを示した。1点および2点の粗視化量にたいする4次までのモーメントの厳密な解析表現を求めることができた。これにより、実験や数値計算では区別できなかった統計性の違いが明らかになった。 大スケール乱流のシミュレーションを可能にするLarge Eddy Simulationのコードを複数のモデルに対して作成し、一様等方乱流に対するパラメータチェックを行った。現在、大型計算機サーバSR16000用の最適化を行っており、来年度に本格的なシミュレーションをする予定である。
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