研究課題
高校物理の教科書に明確に記載されているように、液体中を伝搬する波は縦波だけであり、横波は存在しないと一般的には考えられている。しかしながら、波の波長がX線のように原子間距離と同じくらいになったときには、固体に準じた原子配列を持つクラスターが形成されると考えられている液体中に、非常に短寿命であるが、横波が存在できるであろうことは理論的に予測されてきた。本研究課題では、これまでに液体ガリウムのX線非弾性散乱実験から初めて存在が確認できた横波音波が、液体で一般的に存在し得るかどうかを、大型放射光施設SPring-8を用いて、さまざまな種類の液体金属で検証した。3年間の研究期間に、スズ、鉄、銅、水銀、亜鉛、鉛の測定を行い、ほぼ全ての液体金属に横波による非弾性シグナルが観測された。実験結果から求めたミクロな弾性的な性質は、元素によってかなり異なっており、それぞれの原子間の結合状態の違いによることが推察できる。この実験のため、科学研究費を使ってドイツより共同研究者をSPring-8に招聘した。これらの結果については、フランスで行われた「第7回X線非弾性散乱国際会議」で招待講演を行ったほか、国内で開かれた2つの国際ワークショップで招待講演、計5つの国際会議で口頭発表を行い、この研究が世界的な高い興味を持たれていることを示すことができた。また国内の会議でも、本年3月に、日本物理学会年会でシンポジウム講演を行ったほか、物理学会、放射光学会で3件の口頭発表を行うことができた。また、横波については原著論文を2編、国際会議抄録論文を1編、およびX線非弾性散乱に関連する原著論文5編を公表した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件)
Journal of Physics: Condensed Matter
巻: 25 ページ: 112101-1-5
10.1088/0953-8984/25/11/112101
AIP Conference Proceedings
巻: 1518 ページ: 695-702
10.1063/1.4794661