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2010 年度 実績報告書

強い物理的制約下でも実現可能な量子情報処理

研究課題

研究課題/領域番号 22540405
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

丸山 耕司  独立行政法人理化学研究所, デジタル・マテリアル研究チーム, 基幹研究所研究員 (00425646)

キーワード量子制御 / 量子計算 / ハミルトニアン・トモグラフィ / システム同定 / スピン・ネットワーク
研究概要

多体量子系をその量子性を保ったまま自在に制御することは非常に難しい。量子力学的制御には、各構成要素(量子ビット)、およびそれら要素間の相互作用をすべて意のままに操ることが求められる。しかし、これは技術的に困難であるばかりでなく、マクロな制御系とミクロな被制御系との相互作用を通して全体の量子コヒーレンスを壊してしまうことにつながる。この影響を最小限に抑えるために、すべての要素を制御する代わりに、量子系への人為的制御を最小限に抑えて上述の困難を軽減する手法を探るのが本研究の目的である。
具体的には、N個のスピン1/2粒子からなるネットワークの一部だけにアクセスして、2^N次元をなす空間内で系を制御することを考える。まず、制御するにあたっては、当該スピンシステムのダイナミクスを記述するための種々のパラメータを限られたアクセス下で推定する必要がある。したがって、「ハミルトニアン・トモグラフィ」は量子制御において非常に重要な問題であり、本年度はこれに注力した。例えば、1次元スピン鎖であれば、端部のスピンのみの状態制御と観測を通して残りのスピン間相互作用の結合定数や局所磁場強度を推定するタスクなどである。全磁化を保存する場合に加え、イジングモデルなど物理的にも重要な多くのケースにも適用可能な推定方法を構築する必要があった。そこで、(準)粒子の生成・消滅演算子について2次であるハミルトニアンに対するパラメータ推定方法を提案した。これは特別な場合としてイジングモデルを含んでおり、当該推定法は(準)粒子がフェルミオン、ボソンのいずれでも適用可能である。NMRや超伝導量子回路において検証・実践可能な方法であり、またさらに広いクラスの問題への応用可能性を秘めるものと期待している。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2011 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Indirect quantum tomography of quadratic Hamiltonians2011

    • 著者名/発表者名
      D.Burgarth, K.Maruyama, F.Nori
    • 雑誌名

      New Journal of Physics

      巻: 13 ページ: 013019

    • 査読あり
  • [学会発表] Indirect quantum tomography of quadratic hamiltonians2010

    • 著者名/発表者名
      丸山耕司
    • 学会等名
      Quantum Information Technology 23
    • 発表場所
      東京大学,東京
    • 年月日
      2010-11-16
  • [学会発表] 部分アクセスによるquadratic Hamiltonianの推定2010

    • 著者名/発表者名
      丸山耕司
    • 学会等名
      日本物理学会年次大会・2010年秋季大会
    • 発表場所
      大阪府立大学,大阪
    • 年月日
      2010-09-23
  • [学会発表] Spin-chain-based full quantum computation by accessing only two spins2010

    • 著者名/発表者名
      K.Maruyama
    • 学会等名
      Asian Conference on Quantum Information Science
    • 発表場所
      東京大学,東京(Long Talk)
    • 年月日
      2010-08-30
  • [学会発表] Spin-chain-based full quantum computation by accessing only two spins2010

    • 著者名/発表者名
      K.Maruyama
    • 学会等名
      Quantum Communication, Measurement, and Computing 2010
    • 発表場所
      University of Queensland, Brisbane
    • 年月日
      2010-07-21
  • [学会発表] スピンチェイン端部へのアクセスのみによる全スピンへのフル量子制御2010

    • 著者名/発表者名
      丸山耕司
    • 学会等名
      外部場の時間操作と実時間物理現象
    • 発表場所
      東京大学,東京(招待講演)
    • 年月日
      2010-06-23

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公開日: 2012-07-19  

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