研究課題/領域番号 |
22540416
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
折原 宏 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (30177307)
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研究分担者 |
長屋 智之 大分大学, 工学部, 教授 (00228058)
羅 亮皓 北海道大学, 大学院・工学研究院, 助教 (00421991)
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キーワード | 非平衡定常ゆらぎ / 液晶 / 配向ゆらぎ / 動的光散乱 / 相互相関関数 / コロイド / ブラウン運動 / せん断流 |
研究概要 |
液晶に定常せん断を印加したときに出現する非平衡定常状態における配向ゆらぎと応答関数を測定するための手法の開発とそれを用いたゆらぎの測定を行ない、非平衡定常ゆらぎの性質を解明することを目的とする。今年度は、せん断流下で光散乱強度を測定するための装置を作製した。現在、この装置により無せん断下では配向ゆらぎの相互相関関数がほぼ期待通りに測定できることを確認した段階である。今後、ステージ等を作製し、せん断流下での測定を行なう予定である。 上記の装置作製と並行して、せん断流下におけるコロイド粒子のブラウン運動の観測を行なった。これも非平衡定常ゆらぎの典型例であり、古くから研究が行なわれている。平衡状態における粒子の平均自乗変位が経過時間に比例するのに対し、せん断流下では流れの方向の平均自乗変位において時間の3乗の項が加わることが理論的に予言されていた。しかし、実験的には光散乱法を用いたいくつかの試みはあったが、この異常項の存在は実証されていなかった。本研究では実空間における新しい観測法を考案し、初めてその存在の実証に成功した。共焦点蛍光レーザー顕微鏡と蛍光ビーズを用いることにより、せん断流下において速度勾配方向に約10ミクロンの幅内にある約400個のビーズの位置を追跡した。通常、この軌跡から平均自乗変位を計算するとドリフトの寄与しか見られないので、本研究ではこれを消去する方法を考案し、ブラウン運動の寄与のみを求めた。その結果流れに垂直な方向では時間に比例し、平行な方向では理論から予想された時間の3乗に比例する項が存在し、定量的にも良く一致することを示した。
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