研究課題
ヒトがモノに触れた時に人体に加わった外部刺激が触覚を生み、感情を喚起するプロセスに関する物理モデルを構築する。特に皮膚上で起こる界面現象を摩擦評価システムと高速撮影システムを用いて手触り発現プロセスを詳細に観察、感覚や感情との関係を解析する。本研究はヒトの心で起こる心理現象を物理的手法を用いて解析し、皮膚上で起こる界面現象がモノの認知に結びつく基本原理の解明につなげようとする取り組みであり、医療・福祉ロボットの創出にも結びつくであろう。本年度の成果は以下の通り。(1)水の手触りの物理的起源と触感呈示:これまでに、水の手触りの特徴はキュキュっと感であり、この感覚は皮膚に加わる間歌的なせん断刺激によるものであることを確認し、マイスナー小体とパチニ小体という二種類の触覚受容器が水の認知に関与していることを示した。本年度はこれを超音波振動子を用いて提示した。(2)柔軟感の認知メカニズム:ヒトが硬いものと柔らかいものに触れた時の指の動きと指に加わる力学的刺激を評価し、柔らかいものに触れた時には弱い力学刺激が指先に伝わることや、柔らかいモノに触れた時は触対象を垂直に押込むのに対し、硬いモノに触れたときは指を滑らせる行動をとることが分かった。
2: おおむね順調に進展している
オリジナルの手触り評価装置を用いて、水を認知したり柔軟感が発現するメカニズムを明らかにすることができた。さらに、触行動によって喚起される感情を評価する心理物理実験の手法を開発した。
ヒトが水を認知するプロセスをより詳細に解析するために、ミリ秒オーダーでヒトが水に触れる際の触行動と指に加わる刺激を解析する。また、この時に喚起される感情についても併せて評価する。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)
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