研究課題/領域番号 |
22540420
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
新屋敷 直木 東海大学, 理学部, 教授 (00266363)
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研究分担者 |
八木原 晋 東海大学, 理学部, 教授 (40191093)
喜多 理王 東海大学, 理学部, 准教授 (90322700)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | 化学物理 / 生物物理 / 物性実験 / タンパク質 / 水溶液 / ガラス転移 / 誘電緩和 / 不凍水 |
研究概要 |
本研究は不凍水緩和、水和タンパク質の緩和、氷の緩和を、様々な構造のタンパク質や合成高分子の水溶液で観測し,氷結した水溶液中の不凍水,水和した溶質,氷の分子運動について,普遍的性質と物質構造依存性を明らかにすることが目的である。2012年度に実施した研究で以下の成果が得られた。 周波数範囲10 MHz~50 GHz、温度範囲113K~298K、濃度範囲10~40wt%のゼラチン水溶液の昇温過程における誘電分光および示差走査熱量計による測定により、氷の融解に伴う水の分子運動を観測した。その結果タンパク質水溶液において273K以下でも凍らない水の存在が確かめられた。水の緩和強度から263K以下での不凍溶液相のゼラチン濃度は75~90 wt%であることがわかった。水の分子運動は、部分的な凍結による不凍溶液相のゼラチン濃度の増加によって決定される事が判った。 poly(vinyl pyrrolidone) (PVP) 水溶液で低温でも氷結しない65wt%PVP水溶液の誘電分光測定を118-318Kで行った。従来水の緩和のみが観測されていたが、PVPの局所的な分子運動による緩和(m緩和)の温度依存性を初めて観測し、水の緩和(h緩和)の温度依存性との関係を明らかにした。水の緩和の緩和時間はTg以上で温度の低下とともに活性化エネルギーが増加するVogel-Fulcher(VF)型の温度依存性を示すが、Tg以下では活性化エネルギーが温度に依存しないArrhenius型の温度依存性を示した。このことから水の分子運動が約10桁も緩和時間の異なる高分子鎖の分子運動の影響を強く受けていることが明らかになった。h緩和の強度は、263K以上で温度低下と共に増加し、263K以下ではほぼ一定となった。263K付近で水と高分子鎖の運動の協同運動性が変化していると思われる結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
理由
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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