研究課題
3次元インバージョンに向けた、1次元初期モデルの準備として、広帯域地震波形データを用いたインバージョンにより、北極下の最下部マントル1次元速度構造を求めた。2007年に求めた中米下最下部マントル構造と比較することにより、最下部マントル内の鉱物の量を定量的に推定した。大規模な地震波低速度領域として知られる太平洋下の局所的1次元速度構造を求めた。同領域内の他の地点に対する速度構造とは異なる結果を示し、当低速度領域内における水平方向の不均質の存在を示唆した。地震波速度異方性構造に対する偏微分係数波形を計算し、異方性構造に対する解像度を求めた。そして、その解像度の許す範囲内で、太平洋下最下部マントルに対し推定パラメタとして、異方性パラメタを含めた地震波形インバージョンを行い、太平洋下に垂直方向上向きの流れがあることを示唆する結果を得た。これは中央太平洋に位置するホットスポットの起源が最下部マントルである可能性も示唆する。地震波形を用いて深部内部構造を求める際には、震源や観測点付近の不均質による効果を取り除くが、これまで行なってきたデータ補正法をより効率化し、波形データから得られる情報を増やせるものにした。地震の震源パラメタに対して、求める地震は速度構造が大きく変わらないことを示した。これらの確認、得られた初期モデルを用い、より安定した波形解析を目指し、水平方向不均質が示唆されている西太平洋下3次元速度構造推定を目指した計算ツールの効率化、開発を行ない、試験を重ねている。
すべて 2010
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Geophysical Research Letters
巻: Volume:37 ページ: L16301
Physics of the Earth and Planetary Interiors
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