昨年度に3次元S波速度構造推定に拡張した地震波形インバージョン手法による解析を、より大規模なデータセットを用いた解析に対応させ新しいデータセットに応用した。 稠密に設置された日本の広帯域地震波形観測アレイネットワークF-NETにより得られたトンガ、フィジー近辺で起きた地震の長周期実体波波形データを用いることで、昨年度に解析したデータセットの4倍のデータセットを構築し、対象を西太平洋下最下部マントルの地震学的構造(3次元S波速度構造)とし解析を行った。西太平洋下最下部マントルは大規模なS波低速度帯が広がっているとされるが、本研究により、その大規模な構造の中にも微細な地震波速度の不均質が示唆された。 また、当波形インバージョン解析手法に対する統計学的検証も行った。大量の波形データから無作為に抽出したいくつかのデータセットを構築し、それぞれのデータセットから得られる地震学的構造モデルのロバストネスを確認した。解を得る際の 更に、Geller & Hara (2003)のアルゴリズムにのっとり、3次元S波異方性パラメタ、及びP波パラメタに対して波形インバージョンを用いた解析を行うための、効率良い偏微分係数波形計算ツールを開発し、大規模計算機での計算も可能にすると共に、これらの新たな未知パラメタ推定に対しての新たな波形インバージョンフレームワークを構築し、次の解析を行うためのデータセットを作成した。
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