研究課題
ガス円盤中で巨大惑星がガス捕獲をしていく過程を調べるために、同様のガス捕獲過程である連星系のガス捕獲過程について調べた。計算手法としては連星周りの原始惑星系円盤のガス運動を調べるためにシアー流の長時間進化を精度よく記述できるよう改良されたSPH法を使って研究を行った(Particle Rezoning法)。特に連星が楕円軌道を運動している場合には、長時間相互作用の結果、原始惑星系円盤の運動も楕円運動になることが準解析的計算から期待される。そこで連星と原始惑星系円盤の双方が楕円軌道を運動する場合について調べ、原始惑星系円盤中にほとんど時間変化しない一本腕の密度構造と、円盤内縁部に激しく時間変化するヒゲ状のガス流入構造があらわれることを明らかにした。これは原始惑星系円盤が円運動かつ連星が楕円運動をしている場合について、準解析的に求められる結果から定性的に予測される結果と無矛盾である。結果は石垣島国際会議「進化する惑星形成論」にて発表した。また計算手法に関する成果としては、SPH計算で必要となる初期粒子配置決定に、擬似的な重力計算を応用した反復法が大局的な収束を加速するのに有効であることを明らかにした。またもう一方の研究の柱である準解析的研究は、最終的に行列の固有値・固有ベクトル計算に帰着される。この計算が大規模計算になった場合でも数値丸め誤差が結果に影響を与えないようにすることは重要である。そこで丸め誤差の影響を考慮せずにすむ多倍長精度を使った固有値・固有ベクトル数値計算プログラムを開発した。大規模計算においては計算量の低減は必須事項である。そこで本プログラムでは固有ベクトル計算の計算量をN^3からN^2に低減すべく、I-SVDアルゴリズムを採用した。
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Bulletin of the American Astronomical Society Electronic Edition
巻: 43(http://aas.org/node/3904)
日本物理学会誌
巻: 65 ページ: 787-791