研究課題/領域番号 |
22540441
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
松本 晃治 国立天文台, RISE月惑星探査プロジェクト, 准教授 (30332167)
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研究分担者 |
花田 英夫 国立天文台, RISE月惑星探査プロジェクト, 准教授 (60132677)
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キーワード | 内部構造 / 測地 / 惑星探査 / 月・惑星回転 |
研究概要 |
(1)火星回転変動観測の検討 火星探査ミッションMELOS-1への搭載を念頭に、周回衛星と着陸機との間のドップラーおよび逆VLBIを観測量として火星回転変動を推定するミッション機器の概念検討を行い、機器構成と概算リソースを明らかにした。また、火星回転パラメータ推定のシミュレーションを行うソフトウエアの開発に着手し、まず観測量として宇宙機間ドップラーを考え、その精度と推定される章動・自転速度変動パラメータの精度との関係を調べた。 (2)耐月面環境パッチアンテナの概念検討 次期月探査ミッションSELENE-2への搭載を目指し、月面の厳しい温度環境(-200℃~+120℃)にも耐えて性能を発揮するパッチアンテナの概念検討を行った。これまでに実績のあるアルミナ素材では、比誘電率の温度依存性によって共振周波数が変化するため、性能維持温度範囲が-80℃~80℃に限定されていた。しかし、基板素材として温度依存性が小さいマコールを使用した場合の電気特性解析を行ったところ、月面温度環境でも所要の性能を維持できる見込みがあることが分かった。 (3)月内部構造推定ソフトウエアの開発 月の質量、慣性モーメント、ラブ数h2、k2が測地データとして得られた場合に月の内部構造を推定するソフトウエアを開発した。内部構造パラメータの数よりデータの数の方が少ないため、マルコフ連鎖モンテカルロ法によってベイズ推定する手法を採用した。流体コアの半径や密度などを拘束するには、地殻やマントルの構造誤差をどの程度に抑えなければならないかを調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
着陸機VLBIミッションに必要な技術的課題の洗い出しとその対策検討を行い、また、測地観測データから月内部構造を推定するソフトウエアの開発も行った。
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今後の研究の推進方策 |
ラブ数は流体コアの半径とマントルの剛性率の双方に感度があり、内部構造を決定する際に両者の間でトレードオフが生じ、測地データのみから月内部構造を詳しく制約することは難しいことが分かってきた。今後は、月震データと組み合わせて推定精度を向上させる方向で検討を進める。
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