平成22年度は、日本の月周回衛星「かぐや」に搭載された蛍光エックス線分光計XRSの結果のレビュー、特に太陽X線モニタによる太陽X線の検出状況結果の評価を行った。これは非常に良好なエネルギー分解能が得られ、英字情報を翻訳し、国政に関わる情報を報告している。かつ太陽活動に応じて適切なカウント数やスペクトル形状の変化が得られたことを国際学会で報告した。同時に、インドの月周回探査機「Chandrayaan-1」に搭載された蛍光エックス線分光計C1XS装置のデータ処理と解析の状況を確認するためにインドを訪問し、科学的議論と今後の進み方について議論を行った。今回の観測期間の大部分が太陽活動静穏期であり、多くの観測や試験運用が中途になってしまっている。かつ太陽エックス線のほとんどの期間で放電状態であり、観測結果が得られず、解析も難航している。これまでの結果をまとめた初期研究成果が論文投稿されており、現在査読中である。但し、インド月探査の解析は全体に遅れている(観測データの質的問題により難航している)。 蛍光エックス線における表面粗さ効果は、本研究においても重要な研究テーマである。この効果については機器概要とともに論文を出版し、欧州宇宙機関の発行する科学雑誌に掲載(CD-ROM)した。真空中での角度依存性を調べる実験を進めるために、真空対応の回転テーブルを入手して実験系に組み込む準備をした。これまで角度変化を手作業で行っていたため、H23年度以降にには細かい角度分解能で再現性よくできる見込みであり、データベースの質的向上が見込まれるようにした。
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