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2011 年度 実績報告書

熱帯の気候システムにおける時空間変動,多層構造,水・物質輸送

研究課題

研究課題/領域番号 22540444
研究機関北海道大学

研究代表者

堀之内 武  北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 准教授 (50314266)

キーワード熱帯気象 / 気候 / 積雲対流 / 水循環 / ハドレー循環
研究概要

ハドレー循環等の,熱帯対流圏の基本的な循環の理論においては,これまで内部に時間変動(積雲対流や波動等)を含まない静的なバランスで理解されてきた.しかし,最近の研究により時間変動成分の考慮が理解に欠かせないことが示唆されている.本研究ではこれを発展させて新しい熱帯循環論を打ち立て,さらに,気候学的に重要な層積雲域等での波動,循環,雲の関係を明らかにし,また,様々な気候モデルにおける現在気候再現性および将来予測への影響を明らかにすることを目的とする.本年度は以下の成果を得た.
水惑星型の大気大循環モデルを用いて、ハドレー循環の基礎的な力学を明らかにした(Horinouchi,2012)。海面水温分布が全球一様から現実的な場合まで少しずつ変え、さらにそれぞれで積雲パラメタリゼーションに関する設定を複数変えて行った一連の実験より、対流と結合した波動がハドレー循環強度を左右することを示した。また、湿潤対流調節下では、従来のハドレー循環論において課された制約条件が機能しない(だからこそ対流と結合した波動が子午面循環を左右しうる)という根本的な問題提起も行った。
過去20年間の衛星による雲量データと大気客観解析データを用いて、東部熱帯太平洋での下層雲の変動とその力学的要因を調べる研究を発展させ、論文を投稿した(TeraoandHorinouchi, J. Met. Soc. Japanに投稿中)。本年度は、赤道域の混合ロスビー重力波と中緯度のロスビー波が下層雲を変動させるメカニズムを明らかにした。
IPCC第4次報告書作成に使われた気候モデルシミュレーションデータベースを用いて、熱帯の循環および降水分布と海面水温の関係がモデル間でどのように異なるか調べ、相関関係を明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ハドレー循環の基礎メカニズムにかかわる論文が無事受理、出版されたほか、下層雲と大気波動の関係性を調べた論文も投稿済みであること。引き続き研究と投稿を進めることで目的は達成できると考えられる。

今後の研究の推進方策

代表者自身が今後も着実に研究を進めることに加え、大学院生に適切な助言と指導を行い必要に応じてフォローすることで目標を達成する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Moist Hadley circulation : possible role of wave-convection coupling in aqua-planet experiments2012

    • 著者名/発表者名
      Horinouchi, T.
    • 雑誌名

      Journal of the Atmospheric Sciences

      巻: 69 ページ: 891-907

    • DOI

      10.1175/JAS-D-11-0149.1

    • 査読あり
  • [学会発表] 水惑星実験によるハドレー循環における対流と結合した波動の役割2011

    • 著者名/発表者名
      堀之内武
    • 学会等名
      日本気象学会2011年秋季大会
    • 発表場所
      名古屋大学(名古屋市)
    • 年月日
      20111116-18

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公開日: 2013-06-26  

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