気球観測を目標に、使い捨て運用を実現する廉価(1万円強)で軽量な降水粒子の形状とその粒径分布(DSD)を計測するプローブ(センサ部)を開発した。但し、気球観測は将来目標であり、研究期間中は軽量で廉価な有線データ転送方式の地上観測機器として完成度を高めた。プローブは高速ラインスキャナ方式で、計測幅16 mm、分解能125μm、スライスレート33 kHzで降水粒子形状を計測し、計測粒子画像から粒径を求めDSDを導く。プローブ観測DSDを評価するため、Distromet 社RD80雨滴粒径分布計との比較観測を実施した。その結果、プローブはRD80と似たDSD形状を示し、地上観測では統計的に有意なDSDを表現できる粒子捕捉率を実現できた。降雪観測でプローブは-25~0℃の気温で安定動作し、雪の単結晶、過冷却水滴、霰などの形状計測ができた。使い捨て設計で数ヶ月間の長期連続観測が達成でき、廉価な地上観測機器として利用できる性能を確認できた。
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