研究課題/領域番号 |
22540452
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
轡田 邦夫 東海大学, 海洋学部, 教授 (40205092)
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研究分担者 |
根田 昌典 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教 (10273434)
鈴木 直弥 近畿大学, 理工学部, 講師 (40422985)
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キーワード | 大気-海洋 / 波浪ブイ / 海面フラックス / 黒潮続流 / 放射観測 |
研究概要 |
本研究の目的は、波浪ブイを用いた風波・うねりの観測結果を用いて、大気-海洋間の運動量交換過程に対する波浪の影響を評価することである。平成23年度は、春季に望星丸(東海大学研究調査船)による本州南方海域における調査航海において、船舶による大気海洋境界層の乱流フラックスの直接観測と同時に、海洋混合層の乱流エネルギーおよび波浪観測を実施した。また、秋~冬季には勢水丸(三重大学調査船)による伊勢湾および紀伊半島周辺海域における同様の観測を実施した。これらの観測航海を通して、外洋域における風浪およびうねりのエネルギー特性が分離可能なデータの取得に対する見通しが出来た。また異なる気象・海象条件下における風浪・うねりのエネルギー特性が得られたことにより、海面フラックス評価に対するパラメータ依存性へのアプローチに有用な情報をもたらすことが期待される。さらに同時観測された海洋表層乱流エネルギーとの関係についての解析を進めることにより、大気-海洋相互作用過程に関する機構解明への有用な情報を提供することも期待される。 一方、海面フラックスの高精度データの取得に向けて、衛星データからの海面フラックスデータの整備、日射・長波放射の船上実測検証実験、および船上での乱流フラックス直接観測手法の改善にむけた基礎的研究を継続的に進めた。 上述した外洋域における観測データの取得は次年度も機会を見つけて進めることにより、様々な条件下でのデータを蓄積して、本研究の今後の方向性を図る考えである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度に計画していた観測航海が東日本大震災の影響により中止となってしまったことが、その後の観測計画に少なからず影響を与えている。他大学の研究調査船(例:三重大学勢水丸)による調査航海を積極的に利用することにより、有効なデータの蓄積に努めている。当初はまとめの段階であった最終年度も観測航海の機会をもつことによって、研究の進展の遅れを挽回しつつあるのが現状と言える。
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今後の研究の推進方策 |
GPS波浪ブイ観測によって得られた波浪スペクトルによって、風浪およびうねりの特性が分離可能なデータが取得された。これらは過去に外洋域ではほとんど例がなかったと言える。本研究による観測アプローチによって有効な波浪データ取得の目処が立ちつつあり、海面フラックスのパラメータ依存性に有益な情報を与えることが期待される。本研究の最終年度、および終了後も、引き続き同様な観測航海によるデータ取得を継続実施する予定である。
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