研究概要 |
今年度は最終年度であったが、昨年度までの研究を継承し、機械的走査方式の反射鏡アンテナを共用する三周波(13.6 GHz,35.5 GHz,94 GHz) 降雨・雲レーダおよびマイクロ波放射計を複合し降雨、雲を同時に観測するシステムの実現可能性の検討を研究代表者、研究分担者が連絡を密に取り合い協力しながら実施した。 アンテナ系については、周波数共用マルチビーム・オフセットパラボラアンテナシステムにおいて、単一のパラボラ主鏡面を三周波で共用するために必要とされる周波数選択板として、十字架型のスロットを周期的に配列したJerusalem Cross型の周波数選択板について検討を行った。Jerusalem Cross型周波数選択板を適切に設計して用いることにより、13.6 GHz,35. 5Hz, 94 GHzの3周波数帯を直交両偏波共用で分離できることを示した。 また、二周波(13.6 GHz,35.5 GHz)降雨レーダとアンテナ系を共有する94 GHz の雲レーダのシステム検討を実施した。94 GHzにおいて、ビーム幅を13.6 GHz,35. 5 GHzと同じ値に揃える場合、所要の送信ピーク電力の値が非常に大きくなるため、鏡面の全面を使うシステムの検討を行い、アンテナ指向方向を固定する妥当な94 GHzのシステムパラメータを決定した。 さらに、本研究で提案する三周波雲・降水レーダのセンサパラメータ(アンテナパターン、最小受信感度)の雲・降水システム観測に対する影響を評価した。雲解像数値モデルによってシミュレーションされた熱帯降水システムならびに沖縄梅雨降水システムのデータに対して、SDSUを適用し、周波数間の降水頂と雲頂の関係についての統計解析を実施した。GPM主衛星搭載二周波レーダとCloudSat衛星雲レーダのセンサパラメータを仮定した場合とほぼ変わらない結果が得られた。
|