吹雪とは,雪粒子が空中を舞う現象であり,地域によってその発生条件や規模が大きく異なることが知られている.そこでグローバルスケールモデルに妥当な吹雪モデルを組み込むためには,気候帯の異なる地域における吹雪の特徴を適切に取り込む必要がある. そこで本年度は,空中を舞う雪粒子のナンバーフラックスを粒径毎に非接触で自動カウントする装置(スノーパーティクルカウンター,SPC)を,ステップ気候に相当するモンゴルの北東部Tuul川流域,ツンドラ気候に相当するアメリカのアラスカ州Toolik湖域,さらに国内の札幌と芽室に設置して,冬季に長期間にわたって野外観測を継続することができた. また,低温風洞実験装置(防災科学技術研究所雪氷防災実験棟)によるこれまでの吹雪再現実験で得られたデータの解析を進めた. さらに吹雪時の昇華蒸発量を見積もるために,風速,気温,地表面温度,積雪深,海氷の有無を関数とした数値モデルを構築した.そして,1979年1月から2004年12月まで26年間のJRA25再解析データセットを用いて,全球で吹雪粒子から大気への昇華蒸発量を6時間毎に求めた.吹雪発生の有無に関するパラメタリゼーションをさらに高精度化する必要があるものの,吹雪粒子からの昇華蒸発は南半球に比べて北半球で広範囲に生じていること,緯度と共に単調増加せずに特に極域沿岸と山岳部で増加している様子が確認できた.気候値を求めたところ,経年変化が確認できた.
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