研究課題
本研究計画は、(1)非線形Walen-relationを応用した磁気圏起源"emf"抽出スキームの開発、(2)Hall電流共役法を適用した電流系分離・可視化のスキームの開発、(3)グローバル磁気圏シミュレータとの結合による"emf"駆動型磁気圏電離圏結合シミュレータの完成、(4)本シミュレータの稼働による全球Cowlingチャンネルの精査、(5)得られた結果と理論モデルの比較研究によるMHD磁気圏と結合したCowlingチャンネルの学理の確立で構成される。23年度は、非線形Walen-relationを応用した磁気圏起源"emf"抽出スキームの開発とHall電流共役法を適用した電流系分離法のスキームを、磁気圏MHDシミュレータと結合させ、グローバルな磁気圏電離圏結合シミュレータとしての稼働テストを行う予定であった。しかしながら、震災の影響もあり、当初計画していた共同研究者である東北大学寺田直樹準教授との協働作業に遅れが生じたため、急遽計画を変更し、グローバルシミュレータを必要としないAlfven波と極域電離圏に於けるCowlingチャンネル形成過程の問題に取り組んだ。本研究により(1)電流キャリアの遷移過程を考慮に入れた、3次元電離圏に於ける電離層伝導度の時間発展理論を完成させ、更に(2)これらをAlfven波が介在した磁気圏電離圏結合過程に応用することにより、従来のグローバルシミュレーションではパラメータ化されていた電気伝導度変動の物理モデル化に成功した。これにより、極域オーロラ形成過程をグローバルMHDシミュレーションに組み込む方法論を確立することが出来た。これらの結果は、国際学術誌Journal of Geophysical Research-Space Physicsに2編の論文として投稿され」、それぞれ受理・出版された。
2: おおむね順調に進展している
震災の影響による、計画変更が余儀なくされたが、計画を変更し、Alfven波と極域電離圏に於けるCowlingチャンネル形成過程の定式化に取りくむ事により、結果としてCowlingチャンネル形成過程の理解は大きく進んだと言える。
当初計画に掲げた、"emf"駆動型磁気圏電離圏結合シミュレータによる全球Cowlingチャンネルの精査は、引き続き取り組むが上記に挙げた震災の影響により、その完成は最終年度では難しいかもしれない。しかしながら、23年度に進めた研究の成果により、Alfven波による極域Cowlingチャンネル形成理論の確立は本年度中に遂行可能であり、更にそこで得られた知見を下に、全球Cowlingチャンネル形成過程の物理モデルの作成は可能であると考えている。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (13件)
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