研究概要 |
本年度の研究は以下のような内容で行った. 爆発的噴火の一つの様式として,ヴルカニアン噴火が挙げられる.浅間山で2004年に発生した噴火はこの様式のものであり,実測値も多く,噴火の細部について検討可能である. この噴出物のうち,火口西側に分布するものは以前から回収されて保存されており,その化学組成,含水量,発泡度などを測定し,すでに公表した火口東側の試料と比べることによって,噴火の方向的な偏りなどを示すことができる.また,石基中の火山ガラスのマイクロライトを除去した部分の含水量をFT-IRを用いて計測することによって,噴火直前にマグマにかかっていた加重を算出することができる.それらの検討の結果,火口西側地域に達した噴出岩塊は,東側と比較して発泡度の高いものに乏しいことが判った.さらに含水量から推定された噴火直前のマグマ柱の長さは少なくとも180m程度であったと推定された.この値と噴出したマグマ物質の総量の公表値とから,マグマ柱の直径は数m程度と細かったことが推定された. このように,火山噴出物の石基に残された情報から爆発の実相を復元することが可能であることが示された.
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今後の研究の推進方策 |
残された1年間で,美ヶ原の三城火砕岩類の層序と岩石組合せを再調査し,少なくとも3種類ある試料の分布と分類を調査する(前半).その上で,構成斑晶鉱物,マイクロライトなどのEPMA分析を行って,成果をまとめる.
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