研究概要 |
(1)兵庫・岡山県境に位置する作東コールドロンの形成年代を明らかにするため,流紋岩溶岩流から岩石試料のサンプリングを行ない,本学の地球資源環境学教室で稼働している質量分析計によりRb-Srアイソクロン放射年代測定を行なった。結果は,77.3±4.3Maであった。また,コールドロン南縁に貫入している石英閃緑岩の角閃石K-Ar放射年代測定を行なった。測定は,(株)蒜山地質年代学研究所に発注した。その結果は,71.3±3.7Maであった。異なった年代測定法にもかかわらず,これらの年代値は誤差の範囲で一致しており,地質調査結果とも矛盾しないことから,信頼できる値と考えられる。したがって,作東コールドロンの形成年代は,白亜紀末期の70~80Maであったと結論される。 (2)本研究課題による2010年度の成果では,近隣の引原コールドロンおよび二上山コールドロンについても,70Ma前後の年代値が得られた。また,兵庫県山崎・姫路地域のコールドロン群でも70~80Maの年代値が報告されている(Yamamoto,2003)。したがって,作東コールドロンも,岡山~兵庫県に広がる70~80Maのコールドロン群の一つであると判断される。 (3)これまでのデータは,中国地方中部~東部の白亜紀火山活動が,白亜紀最末期の70~80Maに起こったものであることを示している。中国地方中~西部に分布する90Ma前後の匹見・高田流紋岩類よりは新期だが,古第三紀まで上がることはないと,今のところ結論できる。 (4)中国地方の白亜紀火山活動は,100~90Maに中~酉部で大規模に起こり,80~70Maには活動場が中~東部に転移した。
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今後の研究の推進方策 |
2010年度の本研究課題成果と合わせると,これまで時代未詳であった引原・作東・二上山の3つのコールドロンについて,その年代を高い信頼度で得ることができた。予定通り2012年度(最終年度)に,柵原地域のコールドロン年代を明らかにできれば,中国地方中~東部の白亜紀末火山活動のほぼ全貌が解明される。3年分の研究成果は,まとめて国際誌に投稿予定である。
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