研究概要 |
(1)平成24年度は,まだ正確な年代値の得られていなかった作東~柵原地域のサンプリングを行なった。通産省(1980)のボーリング資料などから判断すると,柵原地域に分布する火砕岩類もコールドロン埋積層と考えられる。火山岩類・火砕岩類からは年代測定に耐える良質な角閃石が得られなかったため,柵原地域の火砕岩類に貫入するとみられる石英閃緑岩の角閃石K-Ar放射年代測定を行なった。測定は,(株)蒜山地質年代学研究所に発注した。その結果は,79.8±1.8Maであった。 (2)石英閃緑岩体がコールドロン埋積層に貫入していることを確認するため,補充の地質調査を行なった。その結果,この岩体は周縁細粒相をもち,また貫入された側のコールドロン埋積火砕岩類には熱変成による再結晶化が認められたので,コールドロン埋積層が石英閃緑岩体より若くなることはないと判断される。 (3)この年代値は,本研究課題2010~2011年度の成果による近隣の作東コールドロンおよび二上山コールドロンの年代値(70~80Ma)とほぼ同時期である。また,兵庫県山崎・姫路地域のコールドロン群でも70~80Maの年代値が報告されている(Yamamoto, 2003)。したがって,柵原の火砕岩類も,岡山~兵庫県に広がる70~80Maのコールドロン群の一つであると判断される。 (4)これまでのデータは,中国地方中部~東部の白亜紀火山活動が,白亜紀最末期の70~80Maに起こったものであることを示している。中国地方中~西部に分布する90Ma前後の匹見・高田流紋岩類よりは新期だが,古第三紀まで上がることはないと,今のところ結論できる。 (5)中国地方の白亜紀火山活動は,100~90Maに中~西部で大規模に起こり,80~70Maには活動場が中~東部に転移した。
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