研究課題/領域番号 |
22540472
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
山本 啓司 鹿児島大学, 大学院・理工学研究科(理学系), 准教授 (60244224)
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研究分担者 |
ハフィーズウル レーマン 鹿児島大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (60505410)
寺林 優 香川大学, 工学部, 教授 (40243745)
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キーワード | 四万十帯 / 北薩 / 薩摩半島 / 徳之島 / 覆瓦状構造 / 蛇紋岩 / 超マフィック岩 |
研究概要 |
北薩地域の四万十累層群大川層群池之段層の地質構造を調査した。前年度の調査範囲を南方に拡張し、池之段層分布域の北部(野田)に認められる覆瓦状構造(玄武岩、チャート、および泥岩または砂岩を基本単位とする北東走向の地層ユニットが全体として南北方向に雁行状に配列)が約6km南方の池之段まで連続することが明らかになった。 薩摩半島八瀬尾地域の四万十累層群の砂岩層・泥岩層を構造的に覆う蛇紋岩体の周辺を調査するとともに、前年度に採取した定方位試料を樹脂で固定して切断研磨し、内部の変形構造を観察した。その結果八瀬尾地域の蛇紋岩体は、ほぼ水平または浅い皿状の構造的境界面を介して西傾斜の堆積岩層の上に載っていることと、蛇紋岩体基底部の変形構造は構造上位を相対的に東に変位させるような勢断センスに対応することがわかった.これらの観察結果は蛇紋岩体が西側から移動してきて四万十累層群の上に定置したクリッペであることを示している。 徳之島の中央東部には四万十累層群に「貫入」するとされる超マフィック岩体が存在する。前年度の予察的調査の結果に基づいて、対象地域を超マフィック岩体の分布域に絞って重点的に調査し、蛇紋岩・かんらん岩は、既存の地質図に描かれているように、北北東-南南西に帯状に連続して分布するのではなく、砂質および泥質の変成岩の中に低角傾斜のレンズ状の小岩体として不連続に散在していることが明らかになった。この構造は、前述した八瀬尾地域の蛇紋岩体の構造と対比できる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
22-23年度の野外調査および岩石試料解析により、北薩地域、八瀬尾地域、および徳之島中央部の地質構造が既存の報告と大きく異なっていることが判明した。さらに八瀬尾地域については本研究による直接的な成果を論文として公表できた。科学研究費補助金申請時の計画にあげていた九州東部の調査は行っていない。前述した地域の研究を優先する必要があったので、研究計画を部分的に変更したものである。
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今後の研究の推進方策 |
北薩地域および徳之島中央部の地質構造を重点的に研究する。日帰りが可能な(実質的に旅費が不要)北薩地域は、野外調査と岩石試料の記載を平行して実施する。徳之島については採取済み岩石試料の変形構造解析を行う。
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