研究課題
北薩地域の四万十累層群大川層群池之段層の地質構造を明らかにした.同層分布域北限の尾毛無から南方の池之段に至るまで,玄武岩,チャート,泥岩,および砂岩の組み合わせを基本セットとする地層ユニットが全体として南北方向に雁行状に配列し,覆瓦状構造を構成している.これに加えて,田代と鶴河内の間に衝上断層帯における「ポップアップ」に相当する構造を認識できた.田代付近に北西走向で右横ずれのback-thrust,鶴川内付近に北東走向で左横ずれのout-of-sequence thrustがあり,これらに挟まれた横向きV字型の領域がその北側と南側に比べて西に張り出している.覆瓦状構造とポップアップは,北向きに沈み込むプレート境界で成長した付加体の内部で形成され,それが西側を上位に横倒しになって断面が露出したものと解釈できる.南西諸島徳之島の西海岸で特異な貫入岩脈を発見した.秋利神川河口の砂浜の汀線付近に周囲長約30m,地上高約3mの岩塊がある.この岩塊は泥質片岩層を主体とし, 少なくとも3枚の砂質片岩層を含む。泥質片岩層の面構造の走向傾斜はN27°E, 20°Nである.この岩塊の北東面から東面に約12mに渡って母岩由来岩片と黒色の基質からなる脈状岩(暗色脈)が露出している.暗色脈は厚さが10~20cmであり,概ね泥質片岩層と砂質片岩層の境界面に平行に貫入しているが,砂質片岩層を分断して階段状になっている部分や,枝分かれして尖滅していることがある.岩片の長径は脈の延長方向と平行に配列しているものが多い.これらの産状から暗色脈は母岩が粉砕されて流動化して形成されたものであると考えられる.溶融したことを示す組織は確認できていないが,シュードタキライトである可能性もある.粉砕岩脈(またはシュードタキライト)は,四万十付加体形成時またはその後の地震に伴って形成されたと考えられる
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Asian Earth Sciences
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The Island Arc
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