研究課題
23年度は、1)前年度実施したパラオ海盆周辺において実施したYK10-14航海による採取試料及びデータの分析および解析、2)ヤップ島における陸上試料採取、を主に実施した。採取火山岩試料について、主要、微量成分及び同位体組成を測定するとともに40Ar/39Ar法による年代測定を実施した。その結果、海盆底から採取された玄武岩は、中央海嶺玄武岩類似の特徴を持つことが明らかになった。これは海山から採取された試料以外の海盆底試料は、海底拡大により形成された海洋地殻を構成する岩石であることを裏付けている。海盆底の形成年代については、試料の風化のため、現在までのところ信頼できるAr/Ar年代が得られた点は限られているが、ミンダナオフラクチャーゾーンからは、約4040万から4360万年前の年代が得られた。この年代は西フィリピン海盆が拡大している期間に重なる。データが少なく断定は難しいが、西フィリピン海盆と同時期に別の海底拡大により形成された可能性を示している。この年代値と海底の地磁気異常データから、新たなフィリピン海地域のテクトニクス復元モデルを検討、学会発表を行った。採取された火山砕屑岩と砂岩3試料について国立極地研究所設置の高感度二次イオン質量分析計(SHRIMP-II)を用いたジルコンU/Pb年代測定を実施した。その結果、パラオ海盆南端部と東縁部の地殻は伊豆・小笠原・マリアナ弧の火成活動時期と重なる始新世に形成されたことが判明した。ヤップ島での採取試料について、岩石記載を実施中である。来年度年代、化学分析を行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
予定した分析項目をほぼ予定通り実施し、データを取得した。前年度航海で取得した地球物理学的データの処理もほぼ終了することができた。
来年度は最終年度のため、これまでの取得データのまとめを中心に行う。調査航海が採択されず、研究期間中に実現できないため、代わりに当該地域で陸上調査を行うことを検討している。
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岩波科学
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