研究概要 |
夏期には鹿児島県奄美大島と高知県大月町の海岸で造礁サンゴ群集に関する調査を行った.これらの海域で観察のためのサイトを設定し,水中写真期を用いて群集を撮影した.また,群集のスケッチを行った.そこで水温・塩分・光量子フラックスを測定するセンサーを設置し,約一週間後に回収した.これらのセンサーの大部分は問題なく作動したが,中には動かないものも存在した.その海域で海水を採水し,塩化第二水銀で固定し,東北大学理学研究科に輸送した.到着した海水は,大学の所有のpH電極を用いて電位差を測定した.その値をもとに,pHアルカリ度法を用いて海水のpH,全アルカリ度,全炭酸を計算した.これらの時間変化より,そこに生息する群集の有機,および,無機炭素生産,すなわち,光合成速度と石灰化速度を求めた.その結果,奄美大島の群集は速く代謝を行っているため,本来調査する予定であった石垣島のものの代用として使用することができる可能性がある.高知県の群集は,昼間に光合成と石灰化を,夜間に呼吸を行っていることが判明した.したがって,これらの速度を光量子フラックスと炭酸塩飽和度の関数としてモデル化できるかもしれない.
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