研究課題/領域番号 |
22540474
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中森 亨 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (00192229)
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キーワード | サンゴ礁 / 生物群集 / 有機炭素生産 / 無機炭素生産 / 亜熱帯 / 温帯 / pHアルカリ度法 / 全炭酸 |
研究概要 |
野外調査 平成23年8月前半に沖縄県石垣島の白保海岸でサンゴ礁生物群集の状態を記録し、海水を採取した。その結果、群集の中でも有機、無機生産速度の速いミドリイシ類が白化現象他により減少していたことが、判明した。8月後半に高知県奈半利町と大月町の海岸で同様の調査を行った。ミドリイシが増え、海藻が減少したことが判明した。9月に鹿児島県奄美大島の宇検村宇検でサンゴ礁の状況調査を行った。以前、多数見られたミドリイシ類がほとんど観察されなかった。平成24年3月に温帯、亜熱帯境界にある屋久島に行き、そこに分布する造礁サンゴを観察した。 室内分析 地学棟実験室で、8月、9月に採取した海水を10月、11月にpHアルカリ度法を用いて、有機・無機炭素生産速度を計算した。その結果、亜熱帯海域に生息するクシハダミドリイシは、温帯域のものと比較して有機炭素生産速度が10倍、また、無機炭素生産速度が10倍あることが判明した。現在、温帯群集の被覆率が高くなっていることを考えると、今後温帯域にもサンゴ礁ができる可能性がある。 造礁サンゴ生産モデル 亜熱帯群集と温帯群集の両生産を比較するため、生産速度モデルを作成した。その結果、造礁サンゴの光合成速度は主に光量子フラックスに、石灰化速度は光合成速度に深く関連していることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
沖縄県石垣島などの亜熱帯域では、地球温暖化に由来するサンゴ礁群集崩壊が進行した。生物生産性が速く、被覆率の高いミドリイシ類がいなくなると、海域の全代謝速度や地球環境に大きなを与えることが心配される。さらに、海洋の酸性化により、群集がより酷い被害を受ける可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
遅れている分を取り返すために、平成24年6月にも高知県で野外調査を行う可能性がある。夏期については同じ時期に野外調査を行う。これまで特に行ってこなかったモデル化の作業を、本格的に開始する。すべての海域生息するクシハダミドリイシについて両速度を定式化できればよい。
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