研究概要 |
鮮新世における日本海の環境,特に暖流の流入時期,海水準変動,古水温の変動を明らかにするため,貝形虫・浮遊性有孔虫化石の群集解析,貝形虫殻の微量元素分析等を行った.結果として,日本海に暖流が流入し始めた時期は366~約340万年前であり,その後も南方から暖流の流入が頻繁に起きていたことが認められた.また,約330万年前の汎世界的な酸素同位体比極大イベント(MIS M2)に対比される可能性のある海水準低下の層準が認められ,当時の海水準変動は多くても50 m程度ではないかと推定された.さらに,貝形虫殻のMg/Ca比に基づくと,当時の新潟県沖では現在よりも5℃前後中層水の水温が高かった可能性が示唆された.
|