研究概要 |
平成23年度には,平成22年度に現世サンゴ礁北限周縁の琉球列島背弧側に位置するトカラ列島小宝島東方沖の島棚上で発見した礁岩群について,10月13日~17日に,研究船「なつしま」を用いて当該海域の詳細な地形調査,ならびに潜水艇「ハイパードルフィン3000」を用いて礁岩群の詳細な観察ならびに岩石試料の採取を行なった.その結果,対象海域の地形では,西北西-東南東方向,ならびに北北東-南南西方向の構造が確認され,複雑なブロック状地形を呈していることが判明した.また水深100m内外の平坦面の存在と,比高100m近くに及ぶ急崖の存在が明らかとなった.海底観察・試料採取では,対象海域において2潜航(HPD#1335・HPD#1336)を実施し,HPD#1335では,水深123mから108mの海底平坦面の観察を行った.その結果,複数のサンゴ礁性堆積物からなるマウンド状礁岩群が観察され,3個の岩石試料と1ヶ所の海底堆積物を得た.またHPD#1336では,水深129mから102mの海底平坦面の観察を行い,その結果,HPD#1335と同様に,複数のサンゴ礁性堆積物からなるマウンド状礁岩群が観察され,4個の岩石試料と3箇所の海底堆積物を得た.いずれの潜航でも得られた岩石試料は,主として生砕性の礁性石灰岩であり,海底堆積物はコケムシ質炭酸塩砂であった.今後,岩石試料・海底堆積物試料の構成造礁生物について検討を加えると共に,岩石試料については年代測定を行う予定である.
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