研究概要 |
本課題では,氷期・間氷期サイクルの気候・海洋環境変動に伴うサンゴ礁生態系の呼応について,現在のサンゴ礁北限周縁の琉球列島背弧側に位置する宝島・小宝島海域を対象域として, 1) 高分解能音波探査・微地形調査・ROV観察を通じて,琉球列島背弧側における氷期におけるサンゴ礁性堆積物の発達状況について明らかにする. 2) ドレッジによるサンゴ礁性堆積物の採取を通じて,背弧側氷期の造礁生物の特徴・種多様性・種構成,礁性堆積物の特徴,ならびにその規制要因について核心域(石垣島・沖縄本島)と周縁域前弧側(喜界島)のサンゴ礁生態系と比較する. これらを基に,氷期・間氷期サイクルにおける,特に低海水準期における琉球列島の前弧側と背弧側でのサンゴ礁生態系の応答とその要因を解明することを目的としている. 平成24年度には,平成22・23年度の海洋調査により検討された現世サンゴ礁北限周縁の琉球列島背弧側にあたるトカラ列島宝島・小宝島沖において得られたデータ・試料について,サンゴ礁性堆積物中の造礁生物群集(造礁サンゴ・石灰藻・底生有孔虫・コケムシなど)の種構成・群集構造の検討を行い,背弧側氷期の海洋環境の復元を行なうと共に サンゴ礁性堆積物の年代決定を行なった. これらの得られたデ-タについて,既存のサンゴ礁核心域のデータと比較するために,宮古島にて補足調査を行なった.その結果,氷期の低海水準期においても現在と同様に, サンゴ礁北限周縁の琉球列島背弧側にもサンゴ礁性堆積物の発達があることが明らかになった.
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